作業手順や作業基準を規定する多数の紙文書の中から、
製品・工程に応じた目的の文書をピンポイントに検索したいことがあります。
これらの文書を電子化し、FileBlogを利用して無線LAN越しにiPadで参照する仕組みを構築するという事例がありましたので、ご紹介します。

お客様は金属の加工技術を活用した精密電子・電気部品を製造する会社の品質管理部門。多品種少量生産体制を強化し、様々なメーカーからの高度で複雑な要求に応えています。

「書類検索機」という製品をご存知ですか?
外観はスチールの書類キャビネットにクリアケースに入った書類が並んだものですが、
横にテンキーが付いていて、数ケタの数字を打ち込むとあら不思議、
その番号に対応するクリアケースの書類がぴょこんと飛び出してくる機械です。
自動車教習所で判子を押してもらう自分の”教習簿”を保管するのによく使われていますので、そういわれると思い出す方も多いのではないでしょうか?

今回のお客様は、紙文書の検索を書類検索機で行っていましたが、書類棚から人力で書類を探すお客様では同様の問題にもっと早く直面すると思います。

導入前の課題

製品検査時には、製品毎に異なる検査基準書や手順書、作業指示書が必要になり、検査する製品が変わるたびに必要な書類を素早く正確に用意しなくてはいけません。お客様の要求に応じた多種多様な製品を生産しているこの会社では、こうした書類が数千種類に及びます。

これまで、検査に必要な書類は、機械式の検索機を兼ね備えた書類棚(書類検索機!)に保管していました。実際の作業では、書類検索機の前まで移動し、管理番号を入力して必要書類を用意する必要がありました。しかし、効率性や正確性をさらに高めて業務品質を追求するため、こうした紙ベースの作業の改善に着手しました。書類検索機本体も古くなり、メンテナンスにかかる手間やコストの改善も課題となるうえ、経年により書類が増加して、新たな書類保管場所も必要でした。

スペースやコスト、作業効率などを総合的に検討すると、新たな書類棚の増設では十分に課題解決できないと考え、書類のペーパーレス化を行い、フロアのどこからでも高速に検索・閲覧できる仕組みの導入を検討しました。

システムイメージ

文書はPDFデータとしてファイルサーバで管理し、無線LAN接続のタブレット端末を作業者に配布してFileBlogでアクセスできるようにしました。

FileBlogに決めたポイント

誰もが使いやすい操作性、無線LANとタブレットによるペーパーレス化、システム構築の容易さ、また導入から運用までにおける全体的なコストが「FileBlog」を導入する決め手になりました。

スペースとコスト、作業効率を総合的に考慮すると、必然的に書類棚の増設は検討外になりました。新たな書類棚を配置するには作業室内のレイアウトを考え直さなければならず、適切な通路幅や作業スペースを配置できなくなる可能性があります。適切なスペースがとれないと作業効率や作業品質の低下につながることも考えられます。機械式の書類棚は本体が高額なうえに、定期的なメンテナンス費用も含めると、コストはさらに大きくなります。

そのため、書類を電子化し、書類棚の代わりにコンピュータで管理する方法を検討しました。電子化することでスペースの問題はクリアできます。手元の PCなどで簡単に必要書類を検索・閲覧できるような仕組みにすれば、書類棚まで移動する時間も省けます。さらに、今までの紙書類のように書類の向きを変えたり、持ち歩けるようにしたりできるように、タブレットでの閲覧の仕組みも検討しました。そして、それらの仕組みの構築やメンテナンスの容易さも重要です。

これらの要件を満たす製品の検討を開始したところ、「FileBlog」が要件に合致することがわかり、検討を重ね導入決定に至りました。「FileBlog」は誰でも直感的に使用できるようにWindowsエクスプローラのような操作画面で、検索はとても速く書類も簡単に閲覧できます。iPadでもPCと同じように検索・閲覧ができるため、紙書類と同じような閲覧性やポータブル性も得られました。セキュリティ面では、ユーザアカウントはActiveDirectoryに連動し権限のある者しか閲覧できないため、書類棚のように誰もが簡単に書類を持ち出せる環境を改善することができました。必要なハードウェアはWindows サーバー1台、iPad数台、無線ルーター1台とコンパクトでコストも抑えられ、大掛かりなデータベースを必要としないため初期構築はとても簡単に済み、運用時のメンテナンスも手間はかかりません。

導入後の効果

書類の印刷および書類棚への保管や、書類棚の前まで移動して書類を探すことがなくなり、作業場所でPCやタブレットを使用して閲覧、保管できるようになったため、作業効率が改善されました。アクセス権の設定により不要な人が書類にアクセスできないようになり、さらにデータバックアップにより紙書類で管理していた時よりも安全性が増しました。書類棚に比べメンテナンス費用も大きく抑えられたため、コスト削減にもつながっています。