現代の企業はビジネスの成長とともにIT環境の変革を迫られます。中でも、データの保管・管理と効率的な運用方法については、最初に直面する課題の一つで、お客様から相談は少なくありません。

 先日もあるお客様からご相談を受けました。創業当初から使用してきたネットワーク対応の外付けHDD、いわゆるNAS製品から、Windowsファイルサーバーへの移行を検討しているとのことでした。ビジネスの拡大に伴って従業員が増え、取り扱うデータの総量が大きくなり、適切な保管が必要なデータの数も容量も増加する一方です。さらに、コンプライアンスやセキュリティの観点から、詳細なアクセスコントロールも必要となり、その場しのぎでNASを追加していくのでは限界が見えてきました。そこで、Windowsファイルサーバーへの移行を検討するので、より効率的なファイルサーバーの運用方法についてアドバイスが欲しいという趣旨のご相談でした。

 創業当時など、ゼロからファイル共有を始める場合、まずNAS製品を利用するのが一般的です。現在バッファローやI/Oデータなどが販売しているNAS製品は多種多様で価格帯も幅広いのですが、低価格帯の製品でファイル共有を始めることが多いのではないでしょうか。最近の製品は低価格でありながら大容量なうえに構築や操作が簡単であり、導入しやすいという利点がありますが、ファイル共有に関わる人数が少なく、細かいアクセス権レベルを求めない組織での利用が多いようです。

 とても便利なNASですが、その利用を続けていると、ある時点で運用が難しくなることがあります。例えば、大容量データを保存できるのでいつの間にか保存ファイル数が膨大になってしまったとき、簡単に導入できるが故に台数が増えてしまったとき、部門ごとで独自のNASを導入しているとき、などです。組織の成長や統合によりファイル共有に関わる人数が増加したときも運用が難しくなることもあります。

 さらに、ファイル数の増加やNASの複数台構成においては、ファイルを探すことが非効率になります。検索機能を持ったNASもありますが、複数台となると統合した検索はできません。ファイル共有の人数が増加すると、より細かいアクセス権レベルが求められます。ユーザーアカウントの管理やアクセス権レベルを詳細に設定できるのは高機能なNASです。このように、情報資産の効率的な利用環境や、コンプライアンス、セキュリティを強化した環境の実現には、NASの利用が向いていない場合があります。

 冒頭でご紹介したお客様では、こうしたNAS環境からWindowsファイルサーバーに移行すると同時にFileBlogを導入し、ファイル検索機能とユーザー管理やアクセス権管理の強化を実現しました。

 FileBlogは1台のWindowsサーバーで「ファイルサーバーと検索機能」を実現できます。NASもFileBlogの検索対象にすることはできますが、FileBlogを稼働させるためのWindowsサーバーの導入が別途必要です。どちらにしてもWindowsサーバーを導入するのであれば、それをファイルサーバーと兼用にすることで、一台のハードウェアを管理すればよいシンプルな運用環境になります。

 Windowsサーバーへの移行は利便性やセキュリティ性能の向上を実現しますが、導入・維持コストの低減や、管理運用が簡単になることを必ずしも望めません。コストは上昇し、管理運用ではテクニカルなことも増えてくるかもしれません。しかし、検索機能を必要としたり、セキュリティ強化を必要としたりするということは、ファイル数が膨大になっていたり、従業員が増加していたりする状態であり、それは組織の持続性や成長性に伴うことです。効率的なファイル共有環境の構築やセキュリティレベルの向上など、企業の成長とIT環境の拡充を見据えたとき、WindowsファイルサーバーとFileBlogの組み合わせは間違いのない選択肢となります。