鉄飛テクノロジーでは、先日新製品「DocPlug」を発表しました。DocPlugは、企業が自前でオンライン・ストレージを運用できるパッケージです。

これまで9年間にわたってファイルサーバ全文検索エンジン「FileBlog」を開発・販売してきた私たちが、DocPlugを開発した理由を、DocPlugとFileBlogの違いや共通点とあわせて、説明いたします。

FileBlogで実現してきたこと - Webアプリケーション

FileBlogの開発に着手して以来10年間、私たちはWindowsファイルサーバにアクセスするWebアプリケーションを開発し続けてきました。特にこだわってきたことは、「Windowsエクスプローラのユーザが違和感を抱くことが無いよう、できるだけ画面レイアウトや操作感覚をエクスプローラに合わせる。」ということです。
フォルダツリーをたどってファイルを見つけ、参照することが誰にでもできるように、という当初の目標は、ある程度達成されたと思っています。

DocPlugのWebアプリケーションは、FileBlogとほぼ同一のものです。PC上のブラウザからも、スマートフォン・タブレットのブラウザからも、どこからでも使えて、Windowsファイルサーバのフォルダ階層からファイルを見つけることができるようになります。



FileBlogでは出来なかったこと - 仮想ドライブ

FileBlogは「全文検索エンジン」であるため、検索して見つかった文書は、たいてい過去に作成された文書でした。そのため見つかった文書は閲覧・参照されるもので、その場で編集・更新されることはあまりありませんでした。

ですが、FileBlogを検索ツールとしてではなく、外出先や自宅から社内のファイルサーバに接続してファイルにアクセスする、リモートアクセスのツールとして使う場合には、事情が変わります。会社でやり残した作業の続きを自宅で再開する場合や、外出先でテンプレートを基に作業報告の作成をしたりする場合、いずれの場合もファイルサーバ上の既存文書を編集することになります。例えば、Microsoft Office文書の場合、従来の仕組みでは下記のような面倒なステップを踏む必要がありました。

従来のWeb文書管理システム(FileBlog)でのファイル更新の手順

  1. ブラウザでWeb文書管理システム(FileBlog)にログインし、フォルダをたどってファイルを見つける
  2. 対象ファイルをダウンロードする
  3. ダウンロードフォルダのファイルを(Microsoft Officeで)編集開始する
  4. Microsoft Office アプリ上で、「保存する」を実行する(編集終了)
  5. Webアプリ上で「上書きアップロード」メニューを呼び出し、アップロードファイルの選択画面で、ダウンロードフォルダ上のファイルを選択して、差し替えアップロードを行う

これでは大変面倒です。そもそも、社内LANに接続していたら次のような簡単な作業で済みます。

従来のLAN内=DocPlugでのファイル更新の手順

  1. Windowsエクスプローラで共有フォルダを開き、ファイルを見つける
  2. ファイルをダブルクリックして、(自動起動するMicrosoft Officeで)編集開始する。
  3. Microsoft Office アプリ上で、「保存する」を実行する(編集終了)

ユーザの利便性を考えれば、「ダウンロード→編集→アップロード」の3ステップを踏むよりも、直接「編集」する方がはるかに簡単です。

DocPlugでは、Windows PC上で動作する専用クライアントソフトウェアが、仮想ネットワークドライブを作成し、LAN内同様に上記と同じ操作ステップでファイル更新が可能になります。

DocPlug専用クライアントはHTTPSプロトコルでDocPlugサーバと接続しますので、接続設定に必要なのはサーバのURLだけ(https://ホスト名/docplug/など)です。今までのNASはLAN内でしか使えませんでしたが、DocPlugは「インターネットのどこからでもHTTPS接続できる仮想NAS」を実現することになります。

試行錯誤の歴史

リモートのファイルサーバにインターネット越しに接続して、エクスプローラから使えるようにしたいと考え、弊社では過去数年間試行錯誤を続けております。数年前、まずはサーバでWebDAVプロトコルを実装してみました。しかしながら、WebDAVクライアントとして代表的なWindowsエクスプローラにはバージョンによって動作がバラバラであるなど問題があり、何よりアクセス性能が低くファイル一覧の取得がとても遅かったのです。

一方、専用のクライアント常駐プログラムを開発して仮想ドライブを作成する方式は、開発の難易度が高かったものの、自分たちでコントロールできる部分が大きいだけ、最終的なシステム品質で上回ることができたと考えています。

DocPlugがやらないこと - 全文検索

「インターネットから社内ファイルサーバにリモートアクセスしたい」という、リモートアクセスニーズを満たすためには、必ずしも全文検索機能は必須ではありません。

従来製品FileBlogのユーザの場合、8割はLAN内でファイルサーバ全文検索エンジンとして利用されていたため、全文検索を標準機能として含む製品構成・価格体系をとっていましたが、リモートアクセスのみを導入目的とするお客様に対して、不要な全文検索機能のライセンス価格が負担になるケースがあることに気がつきました。

そのため、DocPlugは全文検索機能を持たず、お求めやすい価格を実現しています。

なお、DocPlugの仮想ドライブと、FileBlogの全文検索と、両方を組み合わせて使うことも可能です。その際にはお問い合わせください。