FileBlogの最新版 Ver.4.3はすでに2021年2月より公開されています。原則として以前のバージョンの機能を継承していますが、新たに追加された機能や、目に見えにくいところで大きく変化した技術基盤などについて、説明いたします。

【1】より効果的な検索結果の絞込み

FileBlog Ver.4.3で追加された検索機能として、「ファセット検索」があります。

ファセット検索とは、検索条件にヒットする文書の件数を、さらなる絞込み検索用の追加条件ごとに表示して見せる機能です。

下図では、画面右端のパネルに、「ファイル」というキーワードを含むファイルの、サブフォルダ別・ファイル種類別の分布件数が表示されています。

FileBlogでは、左端のフォルダツリーをクリックすることで、検索キーワードを変えることなく、検索対象フォルダの範囲を連続して変えて「探し回る」ことが簡単にできますので、ファセット検索によって右側にサブフォルダが表示されなくてもよいのですが、各フォルダごとの件数が見えるようになることで、無駄に探し回る手間が多少は減ると思われます。

実際にはあまり使われないかもしれませんが、何より、他社のエンタープライズサーチ製品との比較において、機能比較〇✕表にバツが付くのは悔しかったというのが正直なところです。

【2】他システムの部品としてのFileBlog利用

FileBlogの画面の一部を部品として、お客様のWebアプリや、グループウェア・イントラネットサイトに組み込むことができるようになりました。FileBlogをお客様の業務システム・情報系システムの部品として、添付ファイル表示用に活用できるようになりました。(シングルサインオンで使用できるようにするには、ユーザ認証の仕組みなど動作に条件があります。くわしくはお問い合わせください)

任意のHTMLページに、下記のように<iframe>タグを埋め込むことで、FileBlogガジェットを利用できます

例1)

<iframe src="https://hostname/fileblog/#/gadget?path=%2F&viewid=details" />

(※ hostnameのところは、例です。実際には実在のホスト名にします。)

例1の画面イメージ)

 

例2)

<iframe src="https://hostname/fileblog/#/gadget?path=%2F&viewid=thumbnails" />

例2の画面イメージ)

 

ポータルオプションでの利用

FileBlogにはもともと、HTMLファイルを記述することでFileBlogの画面をカスタマイズする「ポータルオプション」という機能があり、そこでは、フォルダ内容や検索結果などを呼び出して利用可能でした。FileBlogのVer.4.3のポータルオプションでは、上記に紹介したFileBlogガジェット以上に、多彩な部品が利用可能になっています。

FileBlogポータルオプションの例)

 

【3】FileBlog継続的進化のために

FileBlog Ver.4.3では、Webアプリケーションのユーザインタフェース部のコードを、Reactを使って全面的に書き直しました。

Reactとは、Webアプリのユーザインタフェースを開発するためのjavaScriptライブラリで、ユーザインタフェースの要素を部品として開発し、それによってアプリケーションを組み立てることを可能にするものです。Facebookをスポンサーに、2013年に公開され発展してきました。

従来のFileBlog(Ver.4.2以前)は、jqueryというjavascrptライブラリによってアプリを記述していました。jqueryは2005年~2010年ごろに成立したもので、表現力のあるWebサイトや、高機能のWebアプリを開発するのによく使われていました。

しかし、部品を組み立てるという開発手法がとりにくく、高機能のWebアプリのソースコードが難解で、開発担当者の引継ぎが難しいことが課題でした。

新バージョンの開発は、2019年に入社したエンジニアの社員教育と同時に進めてきたため、開発チームの若返りの効果もありました。

パッケージソフトウェア開発の長期サイクルを作りたい

私たちの鉄飛テクノロジーは、ほとんど1つのパッケージソフトウェア製品だけで売上を獲得しているという点で、カスタムメイドのシステム開発を受託するシステムインテグレータと大きくことなります。

1つの製品だけで十分な売り上げがあるなら、一度完成してしまったソフトウェアを単に売り続ければよく、何も開発しなくてもよいではないか?と思われるかもしれません。しかし、コンピュータのハードウェア技術・ソフトウェア開発技術は日進月歩で変化しています。すばらしいソフトウェアを一度作って、それを後生大事に延命するというだけでは、20年程度でじり貧となって、時代に取り残されてしまう恐れがあるのです。

ですから、私たちは下記の三点を維持し続けるよう、日々努力しています。

  1. 開発・保守チームの次世代を育て、継続的に保守・開発を可能にする
  2. 最新技術進歩の恩恵を、製品機能や開発方法論に、継続的に取り込み続ける
  3. 過去のお客様の要望、過去の開発・サポート経験に学んだノウハウを継承する

ソフトウェア業はコンピュータとともに成立したため、未だ歴史の短い産業であり、この業界で100年続いた会社はまだ存在していません。しかし、日本は長寿命企業の多い国として知られており、歴史に学ぶことができます。伊勢神宮は20年おきに社殿を建て替える「式年遷宮」を続けることで1000年以上にわたり古来の技術を伝承してきたといわれます。同じものを繰り返し作ることは一見無駄に見えますが、伝統技術を継承しつつ変化する時代に対応しつづけるためには、大変有用です。

同じテーマのソフトウェアを最新技術を用いて繰り返し再設計し、それを保守し続ける人材を育て続けることを、私たちは古い技術の延命策としてではなく、ハードウェア・基本ソフト・開発手法やライブラリの急速な進歩が続くソフトウェアという分野において、最新技術を利用した高品質のソフトウェアを継続的に供給しつづけるための手段とみなしています。ソフトウェアは物理的な実態を持たないため、何度作り直してもほとんど原材料を消費しません。私たちの頭脳とCPUが汗をかきさえすれば、それが実現できるのですから、手間を惜しむべきではありません。

技術の進歩が速いこともあり、もっと短い周期、12年程度の周期で基礎技術の総入れ替えを行うのが適切だと感じています。FileBlogの最初のバージョンができてから14年経過して、このサイクルもそろそろ2周目か3周目に入ってきたところです。

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