組織のフラット化といい、人材の流動化といい、企業がこのような変化を遂げた動機は、ひとことでいえば、「優秀な人材を、働かせれば働かせるほどもうかる」からです。

情報処理能力の個人差

人間の情報処理能力には個人差があります。この情報処理能力の個人差は、筋肉や心肺機能などの身体能力の個人差よりも、はるかに大きいものです。特に、専門性の高い分野においては、専門教育と実務経験の蓄積が豊富な個人とでは、1千倍、1万倍の能力差が出てしまいます。

したがって、組織全体としては、末端のスタッフに下手に考えさせるよりも、わからないことがあればすぐに手を上げて現場リーダーに報告し、指示を仰ぐという体制を組み、要となる現場リーダーに優秀な人材を配置するのが合理的です。

というのも、スタッフと現場リーダーの能力差がたとえ1000倍あっても、給料はせいぜい4倍ぐらいしか変わらないのですから。

組織のフラット化で、現場リーダーはつらい

現場リーダーひとり当たりのスタッフ数が増えれば、当然、仕事はキツクなります。10人~20人もの大勢のスタッフの作業全部について一人で責任を持って判断・指示を行なうというのは、楽な仕事ではありません。

人材の流動化で、現場リーダーはつらい

現代の現場リーダーは、ひとつのプロジェクトが終わっても、すぐに次のプロジェクトが待っており、休む暇がありません。一方で、部下のスタッフは頻繁に増員・転職・退職で入れ替わり、育てるのも容易ではありません。

それでも、現代の日本で「勝ち組み」として生き残るためには、働かなければならず、現場リーダーは大変厳しい状況で、今日も戦っているのです。