ファイルサーバ全文検索エンジンFileBlogを世に出してから、お蔭さまで10年が経過しました。
300社を超えるお客様への導入実績を積み上げてきたこの10年間に、
おそらく数千人のお客様とお話をさせて頂いたのではないでしょうか。

弊社のお客様の多くは、企業でファイルサーバの運用を預かる情報システム担当の方々で、
SOHOから上場企業まで、さまざまな業種・企業規模にわたりましたが、
ファイルサーバ運用現場の課題については、かなりの部分が共通しています。
これらの経験から学んだこと、感じたことについて、いくつかの記事を書くことにします。

ファイルサーバの整理整頓は本当に必要か

ファイルサーバ管理者さん共通の悩みとして、繰り返し耳にするのは
「ファイルサーバの整理整頓ができない。どうすれば整理整頓できるだろうか?」
という質問です。
検索エンジンのメーカーとして、一言申し上げますが、
「必要な情報が必要なときに見つかるのなら、ファイルサーバの整理は不要」ではありませんか?

インターネット検索エンジンとして世界的に成功しているGoogle社は、
「Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることです。」
と表明していますが、そのために世界中の人に整理整頓の手間を強いることは一切ありません。
すぐれた検索技術は、人手による整理整頓の必要性を無くすものであると、私達も信じています。

「整理整頓は無駄です。」というタイトルは、ユーザを沢山「釣る」ために誇張しています。
最低限の整理整頓はもちろん必要ですし、前回のシリーズ「ファイルサーバ整理術」では
アクセス権の付与の方法やフォルダ階層の設計など、その点について記述したつもりです。
しかし、日本の企業文化においては、整理整頓に対する信仰が強すぎるため、
必要以上にファイルサーバを整理しようとするユーザが多いと感じています。

整理整頓信仰が強い日本の企業文化

そうは言っても、多くの日本企業では、「トヨタの片付け」に代表される、整理整頓を重視する企業文化が根強く定着しています。
整理整頓ができないことは、イコール「だらしない」と考えられ、無条件に批判される傾向があります。

「整理整頓は無駄である」と書いた記事を掲載することで、弊社としても会社の信用を落とすことになりはしないかと、
私自身も勇気を持って書いていますが、これはファイルサーバに限った整理整頓に関しての表明であり、
一般的なモノについての整理整頓を否定する意図は全くありません。

むしろ、私自身は教科書どおりの整理整頓が大好きであり、片付け教の熱心な信者でした。
電子メールの受信トレイに、20以上のサブフォルダを作成して、毎日百通以上届くメールを
手作業や自動振り分けルールで分類していたものです。しかし、若手のGmailユーザから
「検索して見つかるんだから、整理するだけ無駄です」と言われて、反論できない自分がいました。
それ以来、検索エンジンメーカーの立場として、
お客様に「整理するだけ無駄」といえるようになりたいと、考えを改めたのです。

「トヨタの片付け」VS「Googleの検索」の対決、
あなたはどちらに軍配があがると思いますか?