専用文書管理システムへの移行不要!
ファイルサーバを丸ごと活かし
検索性と閲覧性を高めて文書管理システムとして利用する方法

はじめに

私達はファイルサーバ全文検索と文書管理の製品「FileBlog」を開発・販売していますが、お客様の7割以上が汎用のファイルサーバ全文検索で利用しています。例えば何千万という大量の文書を数十テラバイトのファイルサーバに貯めているお客様が、その中から必要な文書を力ずくで探すための検索エンジンとして使うケースです。

一方で、1割程度のお客様は、汎用のファイルサーバではなく、特定業務・特定種類の文書だけを管理してWebブラウザでアクセスするために使っています。「図面管理システム」や「物件管理システム」などの名称が付いて利用されており、対象の文書の種類や利用目的が限られています。検索のパターンも限定されているので、フォルダ階層も整理整頓しやすいという特徴があります。

そのため、いわゆる文書管理システムとの比較検討になることも多いのですが、ファイルサーバ全文検索システムが選択されるのは、案件・物件・顧客などの業務上の管理単位で、かなり大量の添付ファイルが存在する場合です。

最も多いのは、建設会社や不動産会社などが持っている物件データで、数万物件分の図面や過去数十年分のメンテナンス履歴などが保管されている物件IDごとのフォルダが多数あるといったケースです。また空調設備や電気設備などの建物付帯設備メーカー、ガス会社なども現場写真や施工図面を物件IDごとに管理していて同じような使われ方をしています。

本文書では、案件/物件などの業務対象単位にかかわる大量文書の保管にファイルサーバを利用し、案件フォルダの検索性を上げるために検索システムとしての「FileBlog」を活用されている事例について、紹介します。

ファイルサーバの汎用性を活かす検索・文書管理

そもそもファイルサーバは、何でも保管できるが何にでも向いているとは言い難い、という特性があります。この特性を踏まえたソリューションがファイルサーバ全文検索をベースにした文書管理であるといえます。

ファイルサーバはなんといっても、大量データをかなり深い階層に分離して長期間運用するのに向いています。ただし、文書のステータス管理やワークフロー管理、バージョン管理といった厳格な保管ルールが必要な文書管理には不向きです。ファイルやフォルダに複数の属性を付けて様々な切り口から検索するような使い方にも向いていません。こうした用途には、特定の文書種類に限定された文書管理システムが選ばれるケースが少なからずあります。

しかし、ファイルサーバ全文検索システムによって、こうした苦手な部分を補完してファイルサーバを活用した文書管理システムを構築することが可能です。

たとえば当社のFileBlogを使うと、ファイルとフォルダに複数の属性を付与できるので、属性検索・全文検索・フォルダ検索を併用して素早くファイルを見つけることができます。バージョン管理やワークフロー管理は相変わらず苦手ですが、大量文書の長期保管が得意なファイルサーバにファイルを保存しつつ、高速なアクセスが実現できるのです。

ファイルサーバのメリット

さて、あらためてファイルサーバのメリットを整理してみましょう。

  1. まず、大容量データの保存が得意です。Webアプリケーションやデータベースシステムに比べると、巨大ファイルのアップロードが高速で、添付ファイルのサイズも上限がありません。
  2. WindowsOSが動くハードウェアであればどこでも動くので、ハードウェアや運用場所の選択肢が圧倒的に豊富です。PCサーバでは、大容量で容量単価が安いハードディスクが使えてアクセス性能が高い製品を選択できます。
  3. バックアップシステムをはじめ運用管理を支援するサードパーティ製品の選択肢も多く、運用コストの点でも有利になります。
  4. フォルダ構造やファイル名の自由度が高いことも特長です。フォルダを何階層でも深く作成できますし、ファイル名・パス名の文字数制限も約3万文字と非常に大きく、いくらでも長いものが付与できます。通常のデータベースシステムは、ファルダは最大で5階層、ファイル名は最大で300文字などと、ある程度限定される場合が多いのですが、ファイルサーバの自由はけた違いです。
  5. さらに、見落としがちなポイントですが、長期間にわたる安定運用が可能なので、長い目で見ると運用コストが安いということがいえます。Windowsファイルサーバは確立された技術、枯れた技術であり、今後10年、20年、30年経ってもマイクロソフトがWindowsを供給し続ける限り運用を継続することができます。PCサーバは様々なベンダーが安定して提供していますので、たとえば5年後、10年後にサーバが古くなっても、新しいものに入れ替えて世代交代させながら長期間使えます。文書管理システム製品で、これほど安定した将来が見えることはないでしょう。

ファイルサーバの限界、整理整頓の限界

ファイルサーバではファイルが自由に保存できるので、何の管理も行わずに野放しにしていると無秩序に散らかってしまい、ファルダ階層の深さがあだとなって目的のファイルが見つからないといったことが起きる場合があります。(これについては本日のテーマをはずれます)

運用ルールを厳しめにして整理整頓すれば、かなり整理された状態を維持することはできます。特定文書種類に限定した文書管理目的でのファイルサーバ利用では、比較的厳しい運用ルールのもとで、整理整頓したファイルサーバのフォルダ階層を構築していることがほとんどです。

たとえば、物件IDを物件ごとに1対1で付与して、そのIDをフォルダ名の先頭に必ず付けるといったような厳格なフォルダ命名ルールを設定していれば、ファイルサーバでもかなり整理された状態を作ることが可能です。物件IDや案件IDでフォルダを作成しておけば、個人や部署、チーム別のフォルダの下に担当物件のフォルダがあるといったような無秩序なものではなく、全社として物件フォルダが1か所に並んでいて、IDが分かればすぐに見つかるという状態が作れます。

しかし、それでも数の暴力というものには勝てません。物件数が数千件、数万件になると目的のファイルまでたどり着くのに手間取るようになってきます。また、IDが分かっていれば比較的早く目的のフォルダに到達できるのですが、顧客名や物件名からIDを調べてフォルダを開きたい場合には、一発で検索することが難しくなり、別に用意してある物件台帳管理データベース(DB)で顧客名や物件名で検索して、見つかったIDでファイルサーバのフォルダを探してアクセスするという、二段階で検索する必要が出てきてしまうのが一般的です。そうした管理台帳は小規模だとエクセルのワークシートで済みますが、ある程度規模が大きくなるとSharePointやKintone、Accessといったデータベースシステムで管理台帳を構築するということになってしまいます。こうしたことがファイルサーバでの文書管理の限界・問題点であるといえます
 

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