ポイント

文書管理システムといっても、さまざまな製品があります。文書の種類が多種多様であり、目的・用途が異なるのですから、どんな文書でも上手に扱える文書管理システムなんていうものはありません。どの「文書管理システム」も得意分野・不得意分野を持っています。今回、独自の視点で文書管理システムを再分類し、さらに「汎用文書管理システム」という領域を新たに定義することで、これまでにない文書管理システムの選び方を提案します。

文書管理システムの定義

私たちは、20年以上にわたって、Windowsファイルサーバで大量の文書を管理するお客様に寄り添って、文書管理の悩みに耳を傾けてきました。文書の種類によって異なる要件もあれば、文書の種類によらない共通のニーズもありました。本資料では、こうした経験に基づいて、文書管理システムの選定のポイントを整理します。

文書管理システムとは何か。まずは独自の定義を試みたいと思います。

文書管理システムとは、文字通り「文書を管理するシステム」ということになりますが、これではかなり広い範囲の定義です。これでは、Microsoft Officeのような文書編集ソフトウェアと、WindowsエクスプローラとWindowsファイルサーバを組み合わせたものも、文書管理システムに含まれてしまいます。

ですが、文書管理システムの導入を検討している皆さんは、たいていの場合、Windowsファイルサーバの標準機能のみによる文書管理に限界を感じているからこそ、製品を選ぼうとしているのではないでしょうか。

はじめに、文書の作成・保管・活用・破棄までのライフサイクルを管理するシステムについて、分類・定義することで範囲を絞っていきます。まず「専用」か「汎用」か、という評価軸で分類し、「業務別・個別文書管理システム」、「汎用ストレージ」、そして「汎用文書管理システム」の3つを定義します。

「専用」なのか、「汎用」なのか

第一の分類軸は、扱う文書の範囲の広さによるものです。幅広い種類の文書を扱えるものを「汎用システム」、逆に特定の種類の文書のみをもっぱら扱うものを「専用システム」とする分類です。

業務や文書の種類別にある「業務別・個別文書管理システム」

企業や組織の事業活動において、文書作成に関わる業務は多種多様であり、作成される文書もさまざまです。文書管理のシステム化とは、特定種類の文書を利用する業務のシステム化の一部ですので、どの業務をシステム化するか、どの文書をシステムで管理するかによって、求められる要件も異なります。

実際には、設計・導入の難しさや費用などの点で、すべての業務のすべての文書管理をシステム化することは現実的でなく、重要な業務と重要な文書から順に、個別業務のシステム化および特定種類の文書管理のシステム化が行われます。

こうして導入される個別業務および特定種類の文書を管理する「専用」のシステムを、本資料では「業務別・個別文書管理システム」と呼ぶことにします。たとえば、経理業務の帳簿や財務諸表などの文書を作成・管理する会計システムもここに分類されるでしょう。給与明細や源泉徴収票、給与台帳などを作成・管理する給与計算システム、見積書や請求書などの作成・管理を含む販売管理システムも同様です。契約書管理システムや製品図面管理システムなども、業務に特化して特定種類の文書に限定されているので「業務別・個別文書管理システム」に位置付けられます。

何でも放り込めるバケツ的記憶装置としての「汎用ストレージ」

上記で定義した「業務別・個別文書管理システム」では、重要な業務、重要な文書から順に、それを扱う個別システムが構築されるものの、その対応範囲から漏れた業務も必ず存在し、そこで作成される文書を管理する必要が生じます。その際、どんな種類のファイルも保管できる汎用の仕組みひとつあれば、その他の幅広い業務を遂行できます。

その役目を負ってきたのは、かつては印刷された紙をバインダとキャビネットで管理する「紙ベースのファイリングシステム」であり、最近ではどんなデータでも格納できるWindowsファイルサーバ、NAS、クラウドストレージなどの「汎用ストレージ」だと言えるでしょう。こうした単なる記憶装置と同等なものは、本資料では文書管理システムとは呼ばないことにします。WindowsファイルサーバとWindowsエクスプローラの組み合わせは、文書管理システムとして販売されているわけではありません。

今では紙で受領した書類もスキャナでデータ化できるようになったため、紙ベースのファイリングシステムは役目を終えつつありますが、紙であれデータであれ、何でも放り込める「バケツ」的記憶装置としての「汎用ストレージ」が必要であることは今後も変わりないと思われます。

消去法的に定義される「汎用文書管理システム」

さて、「専用」か「汎用」か、という評価軸において文書管理システムの考察を進めてきましたが、本資料では、この「業務別・個別文書管理システム」と「汎用ストレージ」に入らない領域の文書管理システムを消去法的に以下のように定義し、「汎用文書管理システム」と呼ぶことにします。

  • 業務上作成される様々な文書を管理するシステムのうち、
  • 特定の主要業務のために構築される「業務別・個別文書管理システム」でなく、
  • どんな文書でも受け入れて、単純にファイル名・フォルダ名をキーに、最新更新日時などの最低限の属性とともに文書データを保管する「汎用ストレージ」でもないもの。

そうすると「汎用文書管理システム」は、上記の定義を裏返して、このように定義することもできます。

  • 業務上作成される様々な文書を管理するシステムのうち、
  • コスト制約上、個別業務システムで扱われるほどの重要文書以外を扱うシステムであるが、
  • 汎用ストレージで単純に保管するだけでは業務上不便になるような文書を管理し、
  • 汎用ストレージには不足している検索・閲覧・版管理・ワークフローなどの管理機能をいくつか備えるもの。

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