ポイント

文書管理システムの製品の違いや製品の性格を把握するのに適した分類軸として、私たちは六つの評価軸を見つけました。相関関係の強い軸を統合して、二つに絞り込み、理解しやすくしてみます。

汎用文書管理システムの分類

「汎用・効率重視」なのか「専用・管理重視」なのかを、X軸(横軸)にまとめます。そして、Y軸(縦軸)に共通(便利)機能の充実度を置きます。この2つの軸で「汎用文書管理システム」の分類を試みたのが次の図です。

現存するさまざまな「文書管理システム」の各タイプは、上図のように二次元にマッピングされました。

図の左下には、汎用性重視で機能が最小限の「汎用ストレージ/ファイルサーバ」が来ます

一方で、図の右下には、特定文書種類の管理に特化した、業務システムが来ます

文書管理システムの進化の系統

現存するさまざまな文書管理システムの進化の系統は、生物の進化の系統樹と同様にとらえることができます。その祖先は、汎用ストレージか、業務システムかのいずれかにさかのぼることができると考えます。

汎用ストレージ/ファイルサーバから進化した製品群

汎用・効率重視の製品群の場合、最低限の機能しか持たない汎用ストレージとしてのファイルサーバが出発点となっています。

私たちのFileBlogはファイルサーバ検索エンジンから始まりました。ファイルサーバだけでは全文検索やファイル名検索が高速にできないので、検索エンジンを付け加えることでファイルサーバの汎用性をそのままに利便性を向上させるという製品づくりを続けてきました。ファイルサーバではかゆいところに手が届かなかったところを解決するために、検索・閲覧・リモートアクセスなどの文書を活用する際の便利機能を充実させてきました。そこから近年は、だんだんと文書の管理機能を強化しています。属性を付与して分類するタグ管理やコメントなどのメタデータを追加できるような機能を足すことで、管理者向けの機能を少しずつ充実させています。

いわゆるクラウドストレージもファイルサーバに近い位置づけのサービスで、検索機能などを充実させていますが、文書の管理機能を強化するところまではいかないで、「汎用ストレージ」の検索を強化したサービスという位置づけと言えるでしょう。

業務システムから進化した製品群

対して、専用・管理重視の製品群の出発点には、特定の業務システムが位置づけられます。業務システムのベンダーが、「業務別・個別文書管理システム」を一般化して文書管理データベース製品を作るという流れです。

ある業界の、あるお客様向けに、ある特定文書の管理システムを作ったベンダーがこれをパッケージ化し、扱える文書の種類を増やして、属性が付けられるようにして、特定のお客様の組織に依存する機能を削って製品を一般化して成立した製品群です。これまで一般に文書管理システムと呼ばれてきたものは、こちらの出自の製品が多いのではないでしょうか。

大まかにいうと、リレーショナルデータベースを用いて文書を管理するのは、こちらの製品群に属する製品の特徴です。多数の属性を付与して管理するのは得意ですが、管理対象の文書が大容量・大量になるにつれて、性能が低下しやすいかもしれません。

あいまいになりつつある境界

汎用ストレージから発展してファイルサーバを活用するタイプの文書管理システムは、大容量・大量文書の扱いを得意とする一方で、従来は相対的に管理機能が貧弱でしたが、最近では次第に管理機能を充実させ、各種特定業務文書管理への応用が可能になってきました。

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