2022年4月10に、FileBlog Ver.4.5をリリースしました。本バージョンを基本に、国税関連文書のスキャナ保存対象および・電子取引の取引情報について、電子帳簿保存法に対応した運用を可能にする、タイムスタンプオプションをまもなくリリースする予定です。

運用イメージ

書類の流れ

まず、取引関連書類の大きな流れを見ると、「取引先」⇔「現場各部門」⇒「経理部門」⇒「監査部門」という流れが存在します。

一般に、取引に関わる情報は、お客様と直接コミュニケーションをとる現場部門を通じて、組織に入ってきます。小さな取引であれば、発生した瞬間に取引完了となりますが、見積もりを依頼してから発注意思決定を経て発注に至り、納品・検収まで数か月程度の時間を要するということもあるでしょう。当初は、現場各部門の担当者の手元にあった情報が、取引発生確定の時点で経理部門に報告されることになります。

経理部門に報告された取引情報は、月単位など一定の期間で受付を締め切ってから、チェックを経て取引日・取引先・金額・勘定科目など必要な情報を与えられ、会計取引として記帳されることになり、記帳された取引の事実を証明する各種書類は、関連文書として長期保存の対象となります。

こうして保管された関連文書は、後日、会計監査や税務調査時に、取引事実を証明するために必要に応じて検索・参照されます。

FileBlogソリューションの特色

前回のコラムにも書きましたが、FileBlogによる文書管理ソリューションは

  • 電子取引で、電子的に受領した取引データ
  • 電子取引で、電子的に送信した取引データの控え
  • 紙で受け取った取引関連文書
  • 紙で送信した取引関連文書の控え

の、全部を一元的に管理する、広い受け皿となることを目指して開発しました。

想定される取引と書類

想定される取引や書類の種類は、下記のように多岐にわたります。

分類 取引の種類(例) 受領/送付の別 書類の種類(例)
経費取引 定期的な間接経費取引
家賃・光熱費・通信費(電話・インターネット)・会費・外注費など
受領 利用明細
請求書
不定期な経費取引 受領 請求書
社員による立替払経費(給料日に精算するようなもの)
旅費・交通費・消耗品費など
受領 レシート
交通費申請書
出張旅費申請書
コーポレートカードなどで支払われる間接経費取引
備品購入・サブスクリプション費用など
受領 請求書
利用明細
社内作成 購買稟議書・見積書
仕入れ取引 受領 請求書・納品書
社内作成 購買稟議書・見積書
給料賃金の支払い取引 送付(控) 給与明細・源泉徴収票
売上取引 定期的な売り上げ 送付(控) 請求書(控)
契約書(控)
受領 契約書
申込書
不定期な(案件ごとの)売上 送付(控) 納品書(控)・請求書(控)
発注請書(控)
受領 発注書
検収通知書
支払記録 納税 送付(控) 税の納付記録
申告書
受領 住民税特別徴収税額決定通知書
社会保険料・労働保険料の支払い 受領
送付(控)
納入告知書
納付書
取引全般 銀行預金の入出金 預金入出金履歴(預金通帳)
現金の入出金 小口現金出納帳

ざっと洗い出してみましたが、ほとんどの組織では、現状では「紙で保存している」ものが多いだろうと思います。しかしながら、ゆくゆくはすべてを電子化して紙を全廃するため、まずは、売上取引と経費取引については例外なく電子化したいという立場に立って考えてみます。

一般的な経費管理システムで対応できる範囲(経費取引関連)の対応

まず、ボリュームが多いのは経費取引ですので、多くの企業では経費管理システムの導入を検討されると思います。

経理処理の工数削減効果という二次的な目的も考えると、下記の順でシステム導入を検討するのが一般的ではないでしょうか。

順位 システム種類(目的) 一般的な提供形態
1 交通費・旅費・立替経費精算を管理するシステム グループウェアの機能として提供されたり、
給与計算システムのオプション機能として提供されたり、
立替経費精算システムとして独立でクラウドシステムで提供されたり、
経費システムのサブシステムとして提供されたりします
2 購買申請・稟議ワークフローシステム 稟議書を作成して承認ワークフローを回すシステムは、グループウェアの一機能だったり、
独立のワークフロー管理システムであったり、
あるいは経費システムの機能として提供されたりします
3 支払管理システム 支払予定表を作成し、買掛金残高・支払日を取引先別に一覧できるようなシステム
会計システムの一部として提供されるか、経費システムの一部として提供されます

ここまでみただけでも、同じ目的のために、様々なシステムの選択肢があることがわかります。いわゆる「経費管理システム」を導入していない組織でも、すでにグループウェアによって一部のワークフローを電子化していたり、既存会計システムの機能で一部を実現していたりする組織は少なくないでしょう。

ただ、既存システムでは紙で受け付けた取引事実を、システムに打ち込んでいて、オリジナル(紙書類)の帳票イメージデータまではシステムに取り込んでいないことがほとんどではないでしょうか?すると、受領した帳票データをシステムに取り込む運用に変えるためには、下記のいずれかの対応が必要になります。

  • ア)既存システムを改修して、(電子帳簿保存法の要件を満たすように)書類データを取り込めるようにする方法
  • イ)新しいシステムに乗り換えて、(電子帳簿保存法の要件を満たすように)書類データを保存できるようにする方法
  • ウ)既存システムは従来通り使いながら、(電子帳簿保存法の要件を満たすように)書類データを保存するシステムを別途追加導入し、既存システムが発行する(伝票番号・申請番号・稟議IDなどの)IDを書類の摘要として記入することで、両者の連携をとる方法

鉄飛テクノロジーは、ウ)の方法のための手段として、文書管理システムとしてのFileBlogを活用できるようにします。

一般的な経費管理システムで対応が難しい領域の対応

上記の領域の経費取引以外については、そもそも一般的ないわゆる経費管理システムが苦手としている分野になると考えます。

たとえば

  • 仕入取引
  • 売上取引
  • 給与支払取引

にかかわる書類の管理がそれです。

給与明細などのデータは、給与計算システムで扱うことが一般的でしょうから、ひとまず議論の対象から外して、仕入・売上取引について考えます。

売上取引について、一定規模以上の組織ではたいてい受発注管理のための業務システムがすでに導入されていて、(受注→納品→検収→請求→入金)のライフサイクルは、そういった業務システムによって管理されているのではないでしょうか?

仕入れ取引については、在庫を持つ業態の場合は、購買・在庫管理・生産管理のための専用システムが構築されていて、そこで管理していることが多いのではないでしょうか。あるいは、受注した案件ごとに仕入れが発生するようなケースでは、仕入れ取引の記録を売上記録と関連付けられて管理し、案件や・品目ごとの単位で収益を評価できるようなしくみが構築されていることも多いでしょう。

このように、案件の取扱いや管理の体系は業種や組織文化によって大きく異なります。汎用のパッケージソフトウェアを使わずに、カスタムメイドのシステムを構築していることも多いでしょう。

それでもなお、いずれの場合でも全面的に電子化されたワークフローが実現できている組織は未だ少数派で、紙で受領した書類について、受付時点で主要項目をシステムに入力しつつも、オリジナルは紙のまま蓄積し、納品・検収などのタイミングで、クリアフォルダやバインダーでまとめて経理担当者に回している、というのが従来の一般的な業務フローではないでしょうか。

だとすると、このように組織個別にカスタマイズされた業務システムを運用している現場で、書類ワークフローを電子化するにはどうしたらよいでしょうか?先ほどの経費取引の場合と同様に、三つの方法があるといえます。

  • ア)既存システムを改修して、(電子帳簿保存法の要件を満たすように)書類データを取り込めるようにする方法
  • イ)新しいシステムを構築・あるいは新システムに乗り換えて、(電子帳簿保存法の要件を満たすように)書類データを保存できるようにする方法
  • ウ)既存システムは従来通り使いながら、(電子帳簿保存法の要件を満たすように)書類データを保存するシステムを別途追加導入し、既存システムが発行する(注文番号・購買管理番号などの)IDを書類の摘要として記入することで、両者の連携をとる方法

私たちは、ウ)の方法の手段として、文書管理システムとしてのFileBlogを活用できるようにします。

一方で、ア)イ)については、組織個別にカスタマイズされた業務システムの改修や構築は困難ですから、経費管理システムの場合以上に難しいと考えています。

文書管理システムを独立させることのメリット

私たちは、受発注管理システムや経費管理システムなど、各種業務システムとは独立に、文書管理システムにおいて、各種取引の事実を証明する書類を保管することを提案します。

そうするこにはいくつかのメリットがあると考えています。

複数のシステムにデータが分散しない方が、検索・閲覧が速い

  • 経費関連の証憑を確認するときには経費システムにログインして検索し、給与関連の証憑は給与計算システムにログインして計算し、税金の支払いについては紙のバインダーで確認し、売上関連の証憑は受発注管理システムにログインして検索し、 という具合に、それぞれの分野別にそれぞれのシステムを使って書類を保管している場合には、ログイン方法や検索方法・見つかった書類の閲覧方法などが、それぞれのシステムによってばらばらになるため、監査のための書類検索・閲覧が面倒になってしまいます。
  • ひとつのシステムですべてを管理するならば、検索方法・閲覧方法は一つに統一され、複数の取引区分にまたがった検索も一瞬で可能になります。

データのバックアップ・移行が容易

  • 外部ベンダーに運用を任せることができて安心だから、クラウドシステムならばバックアップは不要。と思っていませんか?それは少し楽観的にすぎるというものです。
    • 多くの書類の保存期間は9年間または10年間と定められていますが、クラウドシステムを運用するベンダーが、9年後・10年後に営業を続けている保証はどこにもありません。やはりバックアップは必要といえるでしょう。
  • 複数のシステムに分散した書類データをバックアップするのは、運用が面倒になるものです。
  • その点、文書管理システム一か所に長期保存書類を集めてしまえば、バックアップすべきは一か所となります。特にFileBlogの場合、データはWindowsサーバのファイルシステム上にあり、汎用のバックアップソリューションを利用してバックアップ&リストアができるので、PCサーバハードウェアの耐用年数を越えた長期運用が比較的容易です。
  • 長期保存の役割を文書管理システムが一手に担うことで、ワークフローシステムや業務システムは、現在進行中の案件を中心とする、より短期的なデータ管理機能を果たすことになりますから、ベンダーを乗り換えたりすることも容易になります。
    • ベンダーロックインされにくくなることで、将来のシステム利用費用の値上げリスクにも対処しやすいといえます。

従来システムとの併用が可能

  • 従来より、ワークフローシステムにPDF文書を添付できるようなしくみがあって、従来は経理担当者がワークフローシステムで受領したPDF文書を印刷して紙で保管していたという組織の場合、
    • 経理担当者は従来通りファイルを受け取って、印刷する代わりに文書管理システムに登録して保存することで、電子化が完了します
    • それでいて、現場担当者の作業手順は従来と一切変わりません。
  • 従来は、紙で受領した書類をもとに業務システムにデータを打ち込んでおり、案件の納品・検収時点など、取引発生時点で書類の原本紙面を、クリアフォルダやバインダーなどに入れて経理部門に回しているという組織の場合、
    • 現場担当者は、従来通り書類を受け取って、従来通り業務システムにデータ入力し、従来通り紙で経理部門に回し、経理部門がスキャンして電子化てもよいでしょう。
    • あるいは、現場担当者が紙で受け取った書類をスキャナで電子データ化してから、文書管理システムを通じて経理部門に受け渡してもよいでしょ
      • 電子取引で受け取った場合は、印刷もスキャンも不要で、そのまま受け渡し可能です
    • いずれにせよ、従来通りの業務システムを利用継続しつつ、受領した紙文書は電子化されて保管されますし、電子取引で受領したデータについては印刷の手間が省けます。