専用文書管理システムへの移行不要!
ファイルサーバを丸ごと活かし
検索性と閲覧性を高めて文書管理システムとして利用する方法

ファイルサーバ全文検索システム導入のメリット

従来ファイルサーバで運用してきた場合

既にファイルサーバで物件フォルダを運用しており、物件IDで整理できているがファイルの数が多く、物件管理台帳DBと併用しているような場合は、フォルダ属性を付与することで目的のファイルが早く見つかるようになります。既存のファイルサーバ上のファイルを移行することなしに、そのまま活用できるのが一番のメリットです。

場合によっては物件管理台帳DBを廃止することも可能ですが、あるいは業務システムで物件管理台帳DBが運用されている場合に、ある一定の期間ごとに物件DBからエクスポートした物件一覧にもとづいて物件フォルダの属性を自動で更新するといった運用もできます。

ファイルサーバから他の文書管理システムやクラウドサービスに移行する場合には、必ず最初に全データのアップロードが必要になります。その際に過去のデータまで全部移行するのか、いつより以前のものは従来のシステムで延命を図るのか、といった選択を迫られることになりますが、移行が不要ならば大幅に苦労が減るものです。

文書管理システムで運用してきた場合

汎用の文書管理システムを10年くらい前に導入したけれど、登録が面倒で利用が定着せずにファイルサーバに回帰するというケースも考えられます。

本来は、建物が竣工したらただちに全ての文書や図面をDBにアップロードして属性を入力するというルールを決めていても、登録作業が面倒だと現場のユーザーはそのシステムから逃げるようになります。竣工直後でなくチェックが入る年度末などにアリバイ作りのために最低限の文書を登録するというようになってきます。

現場のユーザーは非公式のファイルサーバに最新のファイルを持つようになって、公式の文書管理システムは形だけになってしまいます。こんなときは、現場で運用している非公式のファイルサーバを公式の文書管理システムに昇格させ、全文検索エンジンを組み合わせて運用するというのが、一つの現実的な解決策でしょう。

FileBlogはWindowsエクスプローラーとインターフェースが似ているので、最小限のユーザー教育で運用切り替えが可能です。一覧表示と画像表示がデフォルトですが、属性の付いた一覧の表示や、その一覧をエクセルやCSVでエクスポートすれば物件管理台帳の代わりにもなるという便利さも備えています。

文書管理システムか、ファイルサーバ + 全文検索システムか

これまで、ファイルサーバ+FileBlogに向いているケースについて説明しましたが、やはり専用の文書管理システムが必要なケースはあります。契約書や見積書など1つの管理対象についてファイルが1つの場合、つまり1つの契約書に対して相手先情報や満期日などの日付情報などの区分を入れるようなものは、文書管理システムで管理したほうがいいでしょう。契約書管理や経費管管理など、専用の市販パッケージが安価で入手できる場合は、そういったシステムを買ってしまったほうが得策だと思います。

一方で、建築現場などで撮る写真や動画は、1つの管理対象にファイルが多数になるわけで、その場合はファイルサーバに放り込んだほうが楽です。特にこれらのファイルはサイズが大きいので、Web系のシステムやクラウドサービスにアップロードするのは本当に苦痛です。社内で管理しているファイルサーバにドラッグ&ドロップできるほうが、現場の業務がスムーズにまわります。

アーカイブデータを扱う場合もファイルサーバが有効です。基本的に文書というものは追加されて増える一方で、しかも長期保存が求められます。一定以上に古くなったデータは参照専用という場合も、ファイルサーバのほうが運用しやすいと思います。それに対して、公開前の文書で編集を頻繁に行うなど、ステータス管理やバージョン管理が必要で、かつ申請や承認のワークフロー管理が必要とされる場合は、専用の文書管理システムが向いています。

フローのデータや保存期間が数年でかまわないデータなど、長期保存が求められない場合はファイルサーバでなくてもいいですが、長期保存・長期運用が重要な場合はファイルサーバです。5年後、10年後にハードウェアを更新しながら運用するときに、ファイルサーバなら古いサーバから新しいサーバにデータをコピーする方法が既に確立されていて、コマンド1つで移行できます。そして、新しいサーバに同じシステムをインストールすれば、即座に同じように動かすことができます。

その他の応用事例

ここまで、建設会社や不動産会社などの物件フォルダ管理を例に、ファイルサーバと全文検索エンジンの活用を検討してきましたが、他の業種についてもIDでフォルダを作成して大量データを長期に保管・管理している例がいろいろとあります。

製造業:製品データ・クレーム対応履歴

製造業では製品データの管理において、製品図面を型番や図番で管理しているケースや、製造マニュアル、品質管理チェックリスト、ユーザーマニュアルなどを型番に紐付けて分類し、様々なファイル形式で保管しているケースがあります。また、クレーム対応の分野での利用例もあります。トラブルが起きた現場の写真や履歴、報告書などを長期間にわたって保存することが求められるケースです。

印刷・出版・デザイン・広告業:原稿データ

印刷・出版・デザイン・広告といった業種では、原稿データや案件データの長期保存にファイルサーバと全文検索エンジンを組み合わせて活用している例が多くあります。これらの業種では、成果物としてのポスターや冊子などの印刷データや原稿データ、あるいは写真やイラストなどの素材データを長期保存しています。印刷でいえば数年経って印刷物を再版する場合があり、広告でも定期的なイベントで前回時のパネルのデータを再利用することなどがあります。これらの業種が持つファイルは総じて解像度が高いので、データ容量が数十テラバイトになることも珍しくなく、ファイルサーバが好んで使われています。

人事データ・取引先データ

企業の人事部門や人材派遣会社の人事ファイル管理で、履歴書や職務経歴書、人物写真、各種証明書のデータを社員IDやスタッフIDで管理している例、また法務部門や経理部門において、取引先の登記簿や決算書、契約書、各種調査資料といったファイルを、取引先IDをベースに管理しているケースもあります。

IDでフォルダ管理するとフォルダが散らかることはそれほどありません。ただ、そのIDのフォルダを一発で見つけるために、IDを覚えていないけれども取引先名などで検索したいときには、先程説明したようにフォルダに属性を付与しておけばすぐに見つかります。

まとめ ― ファイルサーバはもっと活用できる

  • ファイルサーバは、大量文書の長期保存に向いています
  • IDで管理できる業務単位別にフォルダを作成し、整理整頓されたフォルダ階層で、ファイルサーバ上で関連文書を保管するという方法は、今後も有効です
  • 検索エンジンは、整理整頓されたファイルサーバにおいても、大量文書・大量フォルダの検索に威力を発揮します
  • FileBlogのように、フォルダに属性を付与できるシステムがあれば、ファイル名検索・全文検索に加えて、案件属性による複合条件検索も可能になり、ファイルサーバによる文書管理と相性抜群です