地域社会の健全な発展を目的とし、社会生活に不可欠なインフラ設備の整備・維持管理を行う企業の設計工事部門。インフラ整備とメンテナンスを通じて、生活を豊かにする充実したサービス環境の実現を目指しています。

導入前の課題

物件ファイルの管理には、従来からデータベース(DB)システムとファイルサーバーを併用してきました。物件概要は物件データベースに登録し、設計図書や竣工図書、現場写真などの付帯書類は各物件に対応するフォルダを作成してファイルサーバーに保管しています。一見、整理されているようにみえるのですが、実際は物件付帯書類を探すのに苦労していました。

物件概要を調べるだけならDBを検索するだけで足りるのですが、付帯書類はファイルサーバー内を探す必要があります。付帯書類は、物件番号をフォルダ名にして作成された数千個ものフォルダに分けて保存されており、その全てが一階層にフラットに存在しています。膨大なフォルダ群から該当のフォルダを素早く探しだすことは難しく、フォルダを1つ1つ開いて探すのは絶望的な作業です。

実際には次のような面倒な手順を踏む必要がありしました。

  1. DBで物件名をキーワードに検索
  2. 同じような物件名が並ぶ検索結果の中から該当する物件を選択して概要を開く
  3. 概要に記載されているフォルダへのリンクを選択
  4. Windowsエクスプローラーでファイルサーバーの物件フォルダが開く
  5. ファイルを開く

ファイルサーバーのフォルダを開くのに、わざわざDBにログインして検索しなければなりません。2)で誤った物件を選択してしまうと、5)で書類を閲覧した時に初めて誤りに気づくということもあり、再度2)まで戻って同じことを繰り返すという無駄な手順も発生します。1)で正しい物件名を入力すればよいのですが、類似した物件名称も多く、しかも物件が日々増えていくなかで、正確な物件名を覚えることは困難です。どうしても覚えやすい地名などの大まかなキーワードで検索することが多くなります。

また、現場や出張先、移動途中などの社外から付帯書類を閲覧する機会も多く、その場合は1)~5)の作業を社内の協力者に依頼して、書類をメールで送ってもらっていました。協力者が工事概要に詳しく、検索作業に慣れていればよいのですが、そうでなければ書類の送信までに時間がかかり、お互いに業務が滞ってしまいます。

システムイメージ

従来の環境では、物件情報検索を探すのに多くの手順が必要でしたが、FileBlogの導入後は簡単に探せるようになりました。

FileBlogに決めたポイント

この非効率な作業の改善に向け、「ファイルサーバーを直接探すことができない」という根本的な原因を解決するべく、情報共有体制の再構築の検討を開始しました。具体的には次の3つの基本案から、低コストで簡単にシステム構築でき、管理・運用・操作も簡単、という要件に沿ってソリューションを探します。

  • DBシステムに付帯書類を直接登録する(ファイルサーバー保存をやめる)
  • ファイルサーバーを直接検索できるようにする
  • 新規管理システムにDBとファイルサーバーを統合する

その結果、上記のうちファイルサーバーでの直接検索というソリューションを選択することになり、FileBlogの導入を決定しました。

FileBlogをインストールすると、Webブラウザでファイルサーバーのファイル操作と検索ができるようになります。普段使い慣れているWindowsエクスプローラーに近いUIのため直感的に操作できます。ファイルサーバーに保存されたファイルをリアルタイムで検索インデックスに自動登録していくので管理も簡単です。

さらに、ポータル機能を利用してDBの物件概要を物件フォルダの説明情報として表示できるようにしました。物件概要だけ閲覧したい場合でもFileBlogの検索だけで済みます。情報への入り口を統一できたため、知りたい情報によって2つのシステムを使い分ける必要はなくなりました。

アプリケーションでファイルを開くことなく、付帯書類のファイルはWebブラウザで簡単に内容を閲覧できます。ファイルを端末にダウンロードすることなく安全に物件情報を閲覧でき、報告書などのファイルをアップロードして物件フォルダに保存することもできます。インターネット経由での接続環境も整備し、現場や移動中、出張先からでも検索・閲覧できるようにして、協力会社にはアクセス権を強化したアカウントを配布し、限定的に物件情報を閲覧できるようにしました。

導入後の効果

FileBlogでファイルサーバーを検索することで、作業効率が大きく改善されました。以前のようにDBへのログインから始まる面倒な検索作業はなくなり、単純で簡単な仕組みで効率的に情報共有を行うことが可能になりました。

FileBlogに接続すると、ID・パスワードの入力なしにシングルサインオンで認証され、キーワード検索のみで物件情報を素早く探せます。付帯書類もWebブラウザで閲覧できるようになったのでとても便利です。外出中のユーザーや外部の協力会社も自ら探して閲覧できるようになり、探すのを手伝っていた協力者も自らの業務に集中できるようになりました。タブレットでも検索・閲覧できるようになり、現場での利便性も向上しました。

メール添付でのファイル送付や閲覧のためのダウンロードが必要なくなったため、セキュリティの面でも改善の効果がありました。個人的なオンラインストレージの利用は意味がなくなり、潜在的なシャドーITのリスクが低減しました。

既存の仕組みを大幅に変更することなくFileBlogを加えるだけで情報共有の体制を簡単に整備でき、システム構築にかかるコストと管理者側の負担が大きく抑えられました。FileBlogの導入が、情報を探す時間を短縮し、不便を解消し、業務効率の改善に大きく役立っています。